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鈴谷 賢太郎; 小原 真司*
まてりあ, 41(3), p.206 - 215, 2002/03
第三世代放射光源SPring-8より得られる高強度の高エネルギー単色X線(E30keV)を用いた回折実験及び実験装置(BL04B2高エネルギーX線回折用2軸回折計)の概要と、その高エネルギー単色X線回折によるランダム系物質:酸化物ガラスの構造研究の現状について解説した。高エネルギー単色X線の持つ短波長,高透過能から、回折実験によって、高い散乱ベクトルQ(300nm)まで(吸収補正などの)データ補正のほとんど必要ない精度の高い構造因子S(Q)を得ることが可能となった。SiO,GeO,BOガラスなどの基本的なネットワーク形成酸化物ガラスの高エネルギー単色X線回折による高精度のS(Q)データに、逆モンテカルロ・シミュレーション(Reverse Monte Carlo Simulation = RMC)法を適用することによって、ランダム系物質の物性を研究するうえ上で極めて重要であるにもかかわらずこれまでデータ解析がほとんど不可能であった中距離構造(短範囲構造ユニットのつくるリング構造など)の信頼できるモデルを構築することに成功した。今後、ランダム系物質の特異な物性は、本研究で示されたような、中距離構造を含む大きな構造モデルをベースに理解が進むものと考えられる。
小原 真司*; 鈴谷 賢太郎
Physics and Chemistry of Glasses, Vol.43C 2002, p.51 - 54, 2002/00
第三世代放射光源SPring-8より得られる高強度の高エネルギー単色X線の持つ短波長,高透過能から、回折実験によって、高い散乱ベクトルQ (350nm)まで(吸収補正などの)データ補正のほとんど必要ない精度の高い構造因子S(Q)を得ることが可能となった。最も典型的なネットワーク形成酸化物ガラス:シリカ(SiO)の高エネルギー単色X線回折による高精度のS(Q)データに、逆モンテカルロ・シミュレーション(Reverse Monte Carlo Simulation = RMC)法を適用することによって、ランダム系物質の物性を研究するうえで極めて重要であるにもかかわらずこれまでデータ解析がほとんど不可能であった中距離構造(短範囲構造ユニットのつくるリング構造など)の信頼できるモデルを構築することに成功した。今後、ランダム系物質の特異な物性は、本研究で示されたような、中距離構造を含む大きな構造モデルをベースに理解が進むものと考えられる。